私が英語を好きになったのは、映画がきっかけだった。でも怖い系(ホラーとか戦争ものとか暴力シーン多めの映画)はとても苦手で、今までどんなにいい映画だと勧められても避けてきた。
「シャイニング」(1980年)も気になっていたものの、公開当時は8歳くらい(子役のダニーと同じ歳)だったのでもちろんリアルタイムで観ていないし、大人になってからも超絶怖そうという理由で観ていなかった。そもそもポスターが怖い。
しかし去年ふとかけたNHK BSでシャイニングの冒頭数分を目にして、まずジャック・ニコルソンの若さに驚愕した。その目つき、話しぶり、いかにも狂っていきそうな雰囲気に引きつけられて、気づいたら最後まで観てしまった。
こ、こんな名作を私は今まで観ていなかったのか…今まで私は何を…と呆然とした。
自分でも驚くことにそのあともう1回アマゾンプライムでも観て堪能したほどだ。
内容は恐ろしいながらも、スタンリー・キューブリック監督のアーティスティックな世界観に心を揺さぶられたのだと思う。
本当に、今さらだけどキューブリック天才、シャイニング最高。
70年代風の廃れたホテルの絨毯、子どもが漕ぐ三輪車でホテルの廊下を回るカメラアングル、だだっ広いダイニングでタイプライターを打つ音、何よりジャック・ニコルソンのブチ切れ方がアメリカ人のそれそのもの(キレたときの夫を思い出しました)で、震えあがりながらも上質なアートを観ている感覚がやめられない。
観た後しばらくはシャイニングのジャックに夢中になり、今もたまに映画のワンシーンを切り取ったgifを使って自分の気持ちを表したりしてしまう。
同時に、ちょっと頭のおかしい感じのする西洋人がもともと好きなんだろうな、と自分の嗜好癖?に気づいて複雑な気持ちになったりもした。過去例に、ジャック・ブラック、ゲイリー・オールドマン、ティム・ロスがいる。
(ちなみに今はサム・ロックウエル様とライアン・ゴズリング様が私の中のツートップ)
それはさておき。
次に観た映画は誰もがその名を知る「ゴッドファーザー」(1972年)。
これも今年のお正月休みにBSで放映していたのをたまたま観て衝撃を受けた。
今さら「衝撃を受けた」とか書くのすら恥ずかしいが、いやこれはアカデミー賞取るね、異論なし!とファンにとっては当然のことを上映から数十年経って実感している。
まず一番びっくりしたのは、冒頭の結婚式のシーン。「あら、この男前だあれ?」と目が釘付けになるほど美しい男性が出てくるのだが、この俳優が若き日のアル・パチーノだとわかったときの衝撃ときたら!!!(老齢に差し掛かった頃くらいからしか知らなかったので本当にびっくりした)
美しすぎてずっと観ていたい。もう、うっとり…という言葉はこういうときのためにあるんだな、と目がハートのまま鑑賞した。
マフィア映画なのでもちろん眼をそむけたくなる暴力シーンも多々ある。でもシャイニング同様、目を隠した指の間からこわごわ覗くときがあっても、十分に映画を楽しめた。
美しいシチリアの風景と残虐なストーリーとの対比がせつなく、背後に流れるあの哀し気な音楽に身も心も持っていかれてしまう。長い映画(ほぼ3時間)ながらノンストップで観てしまった。
文字通りのハチの巣になるシーンも、映画の一環としてジッと観てしまうほど自分の成長具合も感じられた。
この感動を共有したく、こんなときは栩野先生!(小学校時代の恩師であり映画オタクであり人生の師匠。以前のブログにも登場)とさっそく先生にLINEを送る。
以下、先生からの返信
「そうなんですよ。
ゴッドファーザーの時のアルパチーノは、今の老成した感じはなく、本当に美しく凛々しいです✨
あと、映画もクラシックの風格を持ってますよね。
ちなみに、上映当時、1と2に比べると評判の悪かった3がコッポラの手で、未公開シーンを加え再編集されて、今年、上映されます。
かなり前評判が高いので、楽しみです🎵」
さすが師匠…
このあとすぐに、こんなLINEも来た。
いつも思うが、先生には映画コラムをどこかで執筆してほしい。
一昨年に小学校の校長を退職されて前よりは時間もあるだろうし、私ひとりで楽しむにはもったいない熱い映画評をいつもLINEで送ってくれるのだ。
ちなみに先生情報にあった再編集されたゴッドファーザー3は、映画館で上映されたらぜひ観たいと思っている。
食わず嫌いの私を動かしたこの2本の映画で、新しい扉が開いた。
やっぱり映画はやめられない。
まだまだコロナ旋風は吹き荒れているけれど、気兼ねなく映画館に行ける状況になってほしいと願うばかりです。
Kana