My English Learning History 3


Part 2 からの続きです。

⑤大学時代
ついに和歌山を離れ、東京の大学に進学します。どきどきわくわくとは裏腹に不安もいっぱい。慣れない東京生活、女子ばっかりの大学、そして寮生活は、18歳の私には少し厳しいものがありました。
(ちなみにこの時期からストレス太りしますが、開き直って写真をアップしたいと思います。)

でも!大学では貴重な経験がたくさんありました。
文学ばっかりやらされて(ヘミングウェイとかイギリスの詩人とか、名前も覚えてない、、)こんなはずじゃなかった、と思いつつも、外国人の先生の授業があったりして刺激も多かったです。
私が中高生の頃は、学校にALT(外国語指導助手)が来ることは年に1回、あるかないかくらいだったので。今の子どもたちは早くから外国人の先生に慣れる機会があっていいですね。

しかし外国人の先生の授業は聞き取れても話せない。
ある日、言われた宿題を完成してなくて、何とかがんばって ”I did half” (半分は完成しました)って言ってみたら “Half is not enough” (それは十分じゃないよ)と返されて、かなりほろ苦いけど「英語で会話できた!できたよ!」って心の中で喜んでました。それくらい話せなかった私。

大学2年のときに、同じ英米文学科の友人たちとロンドン大学の夏季音声学講座に参加します。これが私にとっての初!海外旅行。
(写真は観光用のダブルデッカーバスに乗って、確かピカデリーサーカスの地下鉄前で撮ったもの)

音声学が何かもよくわからず参加したのに、とっても楽しくて、すっかりロンドンの町とアカデミックな雰囲気にやられました。ここで勉強できたらいいなー、と思い始めたきっかけになり、大学卒業後にイギリスに渡ることになります。

音声学(Phonetics)は、簡単に言うと、口の器官(唇、歯、舌、喉など)を使って音がどのように作り出されるかを研究する学問です。母語だと自然と音が出せますが、外国語はこの仕組みがわかっているのとわかっていないのとでは、正しい発音や聞き取りの力に関わってきます。

パインズで取り入れているフォニックス(Phonics)も、この音声学から派生しています。フォニックスを学ぶことで英語の綴りと音の関係がほぼクリアになるので、英語を読んだり書いたりするためには、ぜひ知っておいてほしいルールです。これだけでも早くから学んでおきたかった!とつくづく思います。小中学校でも積極的に取り入れてほしい。私は大学の授業でも、最初のオリエンテーションで教えるようにしています。(今は大学でも言語学専攻以外の学部では教えるところは少ないとか)

フォニックスについて興味のある方は、こちらをどうぞ。
わかりやすく説明されていますよ~。

つい音声学で熱くなってしまいました。
それくらい目からウロコの知識だったのです。大学でこれを学べたことは今も財産になっています。

写真は、ロンドン大学にて。音声学の大家である島岡丘先生と。
(でもこの時は先生がそんな有名な方とは存じ上げず)

十数年後に、和歌山大学の大学院生時代に英語教育史学会で発表した際に島岡先生にお会いして、「あ!!」と記憶がよみがえり写真を見つけてびっくりしました。発表後は発音の直接指導もしていただいてうれしかったです。いつかまたお会いする機会があれば、この写真をお見せしたいです。

イギリスでは、それまで学校で習っていたアメリカ英語と全然違う、しかもロンドンなまりの英語にとまどいましたが、それも含めて刺激に満ちていました。
たぶん、イギリスとウマが合ったのだろうなと思います。
ずっとアメリカ文化にあこがれて映画や音楽に触れていたのに、この時期からすっかりイギリスにハマっていきました。

私の英語学習にとって、大学時代は大きな変換点。
正直、大学生活は楽しくなくて、関西の大学に行けばよかったー、とずっと思ってましたが、今となっては音声学や言語学、そしてイギリスとの出会いもあり、すべてが私にとって意味があったんだなと思っています。人生っておもしろい。

学部は英米文学科でしたが、3年生から言語学が専門で学べました。英米文学があまり好きになれず言語学に興味を持ち始めていた私は、迷うことなく言語学のゼミを選びました。

そして、英国留学時代(Part 4)へと続きます。

Kana