フロリダ雑記(Vol.3)


フロリダから帰国してもう1カ月半。(Vol.2はこちら
すでに記憶が薄れ始めている…いやだ!あのパラダイスな感覚のまま日本で生活しようと決めたのに。

やはり周りの空気や環境って大事。日本は急に朝晩も冷えてきて、気温の違いも影響しているのかもしれない。寒い季節は苦手だ。フロリダの太陽が恋しい。そんなフロリダに思いを馳せながら、薄れゆく記憶の中から私なりの発見をたどってみたい。

ボートで海へ。ヘヴンリーすぎて泣けた。

まず、いつも思うが、お店の人たちがやさしい、楽しい、明るい。
これはSouthern hospitality(南部のおもてなし)という地域独特の文化なのかもしれない。外に出てお店の人と交流するたびに気分が上がる。口角も自然に上がる。日本ではありえないな、と思った。

お気に入りのおみやげ屋さん(名前もよい)

たとえばボートライドで立ち寄ったレストラン横にあったおみやげ屋さん。選んだ品物をレジに持って行くと、おまけするよ~ Because you are pretty!(ウインク)とか、スーパーの角を曲がった時にぶつかりそうになって、店員さんが Excuse me, young lady!(満面の笑み)とか。どっちもおじさんだが、日本では絶対にない言葉をもらって(しかも自然)楽しくなってくる。おじさんがゴキゲンでお茶目っていい。

こんな単純なことだけど、人とのふれあいはめちゃくちゃ気分に影響する。だからなのか、フロリダにいるときは常にバイブスが上がってる。

義父デインのナイススマイル

とはいえ、いいことばかりではないフロリダ。それは虫問題。

私は虫がきらいだ。日本でも極力、あらゆる手立てで家への侵入を防いでいる。しかし天井からアリが降ってくるという問題が発生。しかもベッドルーム!私の枕の真上から!!(思い出しても涙目)

数日前からシーツを見て「ん?黒い糸くずかな?」とパッパッとはらって眠りについていたことがよみがえって悶絶した。しかし義母マーシーに相談しても「そうなのよ~数日前から落ちてきてたからベッドをずらして虫よけを天井に置いたんだけど、、そんなわけでいま私たちができることは何もないわ(I’m afraid we cannot do anything to this right now)」みたいに、最後は突き放された言い方をされて絶望する。(その後、落ちてくる天井の照明の周りにテープを貼ってなんとか乗り越えた)

現場となったベッドルーム(でも素敵)

またフロリダ南部にはNo See Um(ノーシーアム)というまさに「目に見えない」という意味の虫がいて、人の目には見えないほど小さく網戸をすり抜けてくる蚊のような虫がいるのだが(この時点で意味がよくわからない)、それにいつも私だけ刺されて1週間ほどかゆみに悩まされる。

今回は日本から強力な虫よけスプレーを持参していたが、アメリカの虫にはやはりまったく歯が立たなかった。なぜかフロリダ出身の人は刺されない。小さいときに刺されて免疫ができるらしく、フロリダネイティブの家族といると極東からきたアジア人の私だけがほぼターゲットになる。(NY出身のいとこの奥さんも刺されて困っていた)

毎回、行くたびに足がボロボロになり、しばらくスカートをはけなくなるのが悲しい。もう冬になるからいいけど、虫刺され跡が治りにくいお年頃でもあるので私はノーシーアムを過去最高レベルで恨んでいる。

気休め効果しかなかったかゆみ止めジェル

こうした、日本なら発狂しているであろう虫案件が多発するフロリダ。でも「仕方ない」と耐えられた。それ以外が楽しすぎるからだろう。(住めないけど)

とにかく自然がいっぱいなので、道路でアルマジロが車に轢かれて死んでいてそれをハゲタカがついばんでいる…なんて光景は日常茶飯事だし、「あのあたりに住んでた80歳くらいのおばあさんが夕方に水辺を散歩していてワニにやられたって」とか、カジュアルにハードコアな会話がされていたりするのがこわい。

だからこそ、なのか。フロリダにいると、みんな自然に対して大らかなあきらめ感があって、自然が厳しいからこそ人間同士が仲良くしようぜ、って空気を感じる。

私自身、フロリダに到着してから物事を細かく深く考える時間が減っていた。それはものすごく心地良く、自分に還っていく時間のようだった。思わずTwitterでもこう↓つぶやいた。

考えるのが悪いことではない。でも日本にいると不要なことまで考えすぎて、足が不安にからめとられて身動きできないことがある。それってすごくもったいない!と思った。人生で何百万回目かの「もっとシンプルにいこうよ」をあらためて自分に言いたくなった。

とにかくアメリカは自由。自分ファースト。他人への気遣いは自分が満たされてから、という空気がまん延している。いいことだ。私もそんな風に生きていきたい。

日本でも、フロリダにいるように人目を気にせず細かいことを考えすぎずに生きる。
これを人生の目標にすると決めた。なんだかできそうな気がしている。

Kana

虫の悩みを忘れさせる美しいサンセット

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